邪悪小坊主「一休」

他の地域は知らんが、北海道ではテレビ東京系で毎朝「おはようまんが」なるものを放送している。現在は「一休さん」である。
俺は、朝ボーッとしながらこのアニメを見ている。
知らない人のために、簡単なストーリーを説明する。
尚、最終回分である「室町幕府の崩壊」は小説風に掲載しよう。

 

[ストーリー]

邪悪小坊主の一休が、南朝方の恨みを晴らすために、名将足利義満を倒すまでの冒険活劇だ。
滅ぼされた帝の妾で、一休の母親でもある伊予の局の密命を受け、一休は単なるとんち小坊主を装い足利義満将軍に近づく。
一休は、持ち前の邪悪さと類希なる悪知恵の才能により、将軍をことごとくやり込めることで義満の自尊心を傷つけ、精神的な圧力をかけていく。
しかしそれに気づいた義満は、当時の奉行の中で大きな権力を持っていた寺社奉行の蜷川新右衛門を、密偵として一休のいる暗黒寺(あんこくじ)へ送り込む。
一休は、全てが手はず通りとでも言うように新右衛門を己が暗黒面に取り込み、暗黒寺に対して全てが有利になるよう、密かに政(まつりごと)を工作させたのだ。
将軍義満は、骨抜きにされた蜷川新右衛門を見て一休の力が日増しに増大することに憂慮し、次々に刺客を送り込み、ありとあらゆる手を尽くした。
物理面の破壊を目的として送り込んだ、五條露姫。
精神面の破壊目的として送り込んだ、どちて坊や。
経済破綻を目的として送り込んだ、桔梗屋利平とその娘弥生。
しかし、全てが尽く一休の返り討ちに遭い、しかもそのたびに送り込んだ刺客が暗黒面に取り込まれて行く。
そして、室町幕府崩壊へのシナリオは終焉に向かう。

 

[最終回「室町幕府の崩壊」]

一休の力を見くびっていた義満は、己の戦略の至らなさを悔い、全軍を率いて暗黒寺に乗り込む。
しかし、暗黒寺には数多(あまた)の邪悪坊主たちが巣食っていたのだ。

頭突きの執念(しゅうねん)
人斬りの鉄砕(てっさい)
雲隠れの跌髀(てつばい)
怪力の鎮念(ちんねん)
瞑想の黙然(もくねん)

しかし、なにより恐ろしいのは、齢800歳を超える大妖怪「骸喚(がいかん)」である。
骸喚はその名の通り、暗黒寺に葬られている死者達の魂を黄泉から召喚し、無敵の兵団を作り出す「邪蘇骸念仏(じゃそがいねんぶつ)」の使い手である。
それでも、義満の精鋭である数万の大軍は、その圧倒的な数の勝負に勝ってはいたが、これらの凶悪な敵達を討ち倒し、義満の兵が一休のいる本堂の扉の前にたどり着いた時には、既に義満を含めて僅か十数人しか残っていなかった。

重々しい本堂の扉は、数十人で押しても開かないかと思われるほどのであったが、立ちすくむ義満たちの前に、義満達を中へ招くように音も無く開き始めた。
一休は本堂の中、暗黒釈迦像の前に無言で座禅を組んでいた。
一休の後ろ姿を見た義満の胸に、様々な思い出が去来する。
自らが鍛え上げ、目を掛けてきた蜷川新右衛門の顔。そして、激しい戦いの最中散っていった忠臣達・・・。
そんな思いが、恐怖と邪悪に満ちた静寂を義満に蹴散らさせた。
「一休、覚悟!!」
義満が渾身の力を振り絞って吐き出した言葉を聞くと、一休はこの世の物とは思えぬ笑い声をあげた。
「うひゃーぉぅ、ひゃぉぅ、ひゃぉぅひゃぉぅひゃぉぅひゃぉぅ!!」
その笑い声が本堂に響き渡り、そして静かに消えていく。
「将軍さま・・・」
そうつぶやいた後、一休は静かに念仏を唱え始める。
その経を聞いた義満は、底知れぬ不安を感じながらも、将軍としての威厳を見せる。
「なんじゃ、今更許しを請うても、予は聞く耳持たぬぞ! そこに直れっ!!」
下を向いたまま一休は、この世のものとは思えぬ不気味な笑いを浮かべた。
「うひひひひっ・・・。違いますよ、将軍さま。」
「何が違うというのじゃ!!」
一休の目が青白く光る。
「将軍様のために、お経を唱えているんじゃありませんか。」
将軍の顔が焦りに満ちる。
「おのれ、一休!」
しかし次の瞬間、一休の怒号と共に本堂の中を閃光が駆け抜けた。
「南無サンダーーーーーーーぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
まばゆいばかりの稲妻が、義満の部下達に襲いかかる。
数刻の時が流れた。
「なんじゃ。なにがおこったというのじゃ!?」
ようやく、義満の目が白以外の色を判別できるようになった時、そこには恐ろしい光景が広がっていた。
義満を守るように囲んでいた兵達の身体にあるべきモノが無い。
首が飛んでいたのだ。


いつものように朝が訪れる。
朝日に浮かぶ金閣寺は、そのものが光であると錯覚するほどまばゆく輝いていた。
「・・・さま、上様!上様!!」
新衛門の声によって、義満は悪夢から覚めることが出来た。
「ぶわっ!!、はーっ、はーっ、はーっ、はーっ・・・・・・・・・」
飛び起きた義満は、全身に汗をびっしょり掻き、自分の身に何が起こったか解らない。
「上様、どうしたのですか?ひどく魘されておりましたぞ」
ようやく我を取り戻すことが出来た将軍は、安堵とともに小さく呟く。
「夢か・・・」
新衛門が言う。
「上様、一休さんが御見えですよ」
一休という言葉を聞いた瞬間、将軍の顔色が変わる。
「一休・・・!?会わん、予は会わんぞ!早々に追い返せ!!」
またかという様に、将軍を諭す新衛門。
「それはないでござるよ・・・。呼びつけたのは上様ではございませんか。」
そうだ、明の国からの使節団を迎えるための余興として、とんち問答を計画した義満は、その件で朝から一休を呼んでいたのだ。
「じゃが・・・、あんな夢を見た後では・・・。」
「夢は夢。一休さんが、上様に何か危害を加えた訳ではないでしょう。」
新衛門も慣れたものである。
「・・・・・・・・解った。通しておけ。」
「ははっ。」

着替えを終えた義満は、重い足取りで一休を出迎える。
「おお、一休殿。待たせたな。」
「いいえ。ところで、今日は何のご用でございましょう?」
夢のことが頭から離れぬ義満は、用件については触れずに、こう切り出した。
「いや、それよりも、今日悪い夢をみてなぁ」
「悪い・・・夢ですか?」
義満は、夢に見た事を一休に話した。
「そちがいつも、予をとんちで苛めるからじゃぞ。」
「そんなぁ・・・」
一休の困った顔を見て少し気分を良くした義満は、さらに意地悪くこう言った。
「あの、南無サンダーとやらをもう一度見たいものじゃな、はっはっはっ」
高笑いの将軍を前に、一休は顔を伏せる。
将軍はさらに調子にのって、
「一休殿に出来ないことなぞ、あろうはずもない。是非、見せてくれんかな。」
一休は顔を伏せたまま、小さく呟く。
「みたいですか・・・?」
「!!」
一瞬、義満が沈黙するが、すぐに一休が言う。
「冗談ですよ。あはははは・・・」
「・・・ははは、一休殿、冗談がきついぞ。ははははは」
「うひひひひっ。本当は、冗談じゃないんです・・・」
そういうと、一休から発せられた青白いオーラが部屋を覆い尽くす。
「や、やめろ!」
「南無・・・」
「そ、そんな、夢では・・・」
「サンダーーーーーーーぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「なかったのかぁーーーーーー!!!????」

おしまい


いかがだっただろうか?
邪悪小坊主「一休」の邪悪さが、これでもかというほどの邪悪さで押し迫ってくる、非常に興味深い作品である。
見たことの無い人は、是非見てもらえることをオススメするとも。
ああ、するさ。するって言ってるだろう、コンチクショー!!

以上

[GameMillenium]